2stroke with powerband -It's always smokin' on the road.


2ストロークエンジンの吸気形式
2ストロークエンジンの動作 吸気形式いろいろ 掃気について 排気システム
☆吸気形式いろいろ
2ストロークエンジンは基本的にクランクケース内に混合気を吸い込む。
クランクケースから掃気という行程をたどって燃焼室に混合気を送り込むのだ。
クランクケースに混合気を送り込む方式がいくつか存在する。
☆ピストンバルブ・ピストンリードバルブ式
ピストンバルブ式 ケニー・ロバーツが乗ってた1978年ごろのYZR500もこの形式 シリンダ壁に吸気ポートが開いている形式。
ピストンが上昇しポートを開け、下降してポートを閉じる。ポートを開閉するのにピストンだけでやっているから単純かつ確実。ただし、ポートの位置によって吸気タイミングが決められてしまうこと、ピストンの下降時に混合気を吹き返してしまいやすい。そこで吸気通路にリードバルブを設けて吹き返しを防ぐようにしたのがピストンリードバルブ式。
☆クランクケースリードバルブ式
現在主流のクランクケースリードバルブ方式。簡便かつ効率の良いシステムだ。 吸気ポートをシリンダ壁ではなくクランクケースに設けたもの。
当然リードバルブ付き。
ピストンの位置に関わらず、ケース内が負圧でありさえすれば混合気を吸い込める。いや、圧力差がなくても吸気慣性で流し込めるはずだ。ピストンバルブ式に比べて、ポートの断面積も大きく取れるし、吸気通路の長さも短く出来る。シリンダに吸気ポートがなくなる分、掃気ポートの断面積・レイアウトの適正化も図れる。80年代中盤以降主流となった形式。
画像をクリックすると拡大します。クランクの焼けがいい感じ。 KR−1Sのクランクケースとリードバルブ。
前傾50度エンジンのメリットとして吸気のストレート化がある。
シリンダが前傾する分、吸気ポートから掃気ポートへ比較的まっすぐ混合気が送り込むようになっている。また、ピストン下部へ混合気を当て、冷却およびクランク小端の潤滑性も高めている。画像中央上部のへこみは第三掃気ポートへの通路。ココを加工して掃気の流れを良くしてやるといい感じ。
☆ロータリーディスクバルブ式
今ではノスタルジックなイメージさえある形式。単純に高回転エンジンを作るのならイケるかも? 個人的には一番好きな吸気形式だ。
クランクケース側面に吸気ポートを配置し、クランクシャフト端に切り欠きのあるディスクでポートを開閉する。この方式もピストン位置に関わらず吸気タイミングが得られる。切り欠きの角度で高回転型にも低中回転型にもなる。ピストンバルブやリードバルブ形式と比べて確実にポートをふさぐことが出来るため吹き返しも少ない。反面、切り欠きの角度で吸入量が制限されるため、特定の回転域に吸気タイミングを絞らざるを得ない点がある。過去においては2ストスポーツエンジンの主流であった形式。低中回転型のビジネスバイクでも採用されていた。リードバルブの技術革新で日本のメーカーではほとんど使用されなくなった。残念。
☆カワサキR.R.I.S(ロータリー&リード・インテーク・システム)
世の中、頭のいいヒトはいるもんだと思わせる機構。
カワサキが市販車AR125、KR250に採用した吸気デバイスとも言うべきシステム。
特定の回転域に偏ってしまうロータリーディスクバルブの欠点を補うもの。
吸気ポートを複数設け、高回転域に使用されるポートを低回転域ではリードバルブで閉じておこうというもの。
上の画像の場合は、低回転域では中央のポートのみ機能し、回転が上がるにしたがって両サイドのポートに置かれた
リードバルブが強い負圧によって開きだすというもの。なかなか考えたシステムだ。ただし、リードバルブは低回転域で開いてもらっては困るので硬いものを使用しなくてはいけない。
前のページに戻る トップページへもどる