2stroke with powerband -It's always smokin' on the road.


maintenance12
平成18年7月23日
梅雨なので雨続きである。
走りに行きたくても行けないのである。
ということで、スペアエンジンのコイル交換をすることにした。ちなみにエンジンは欠品無しの状態で5機ある。
KR−1Sのエンジンが3機、KR−1のエンジンが2機である。KR−1のシリンダは使わないので3組のシリンダを5機の腰下に組み替えつつ使用している。1年ごとにエンジンを載せ換え、1機ごとの消耗を抑えつつ長持ちさせるのだ。
現状、欠品はないのだが、あれこれパーツを使い回ししているせいでバラバラの状態である。
しかるべきときに使えるように組んでおかねばなるまい。
まずはマグネット外し。
マグネットを止めているボルトを抜かねばならない。
マグネットに空いている穴にシザースホルダをかまして回り止め。
こんなのが面倒な場合はインパクトでガツンとやれば簡単だ。
インパクトを使うとクランクが歪むとか言われるが、経験上問題ない。
どうせ、あとでプーラーをかましてローターを抜くときにブッ叩くこともあるので、あまり気にしない。少々の衝撃を与えたって、壊れたこともないし、エンジンに不具合が出たこともない。
ボルトを抜いたところを接写。
クランクシャフトは中空になっている。
テーパー状になっているローターがクランクシャフトにはまっているだけだが、熱が加わるなどで大抵は固着している。そこでロータープーラー(フライホイールプーラー)を使ってマグネットを引き抜く。
プーラーを入れる前に中空のクランクシャフトにアダプタなる純正工具を突っ込む。こうしないと、プーラーのピンがかからずクランクシャフトの中にめり込むだけとなる。プーラーもピンが太い純正工具を使用する。右画像の左側の工具が純正。ピン径の細い右の汎用工具を使用したところ、アダプタの皿部分に圧入してある軸だけを押すことになってしまい、軸が抜けてしまうという失態を過去に犯している。最初は理由が分からなかったが、工具を見比べることで原因が判明した。純正のプーラーはアダプタの皿部分までピンが掛かるので軸だけが抜けてしまうということがないのだ。
プーラーのボディ部をローターにねじ込んでいく。
ここは逆ネジになっている。一杯までねじ込んだら。ハンドルが付いているピンをボディ内にねじ込んでいく。ピンの先端がアダプタに当たり、ねじ込みがきつくなるが、ドンドンねじ込んでいく。キツク固着していない場合は、この時点でローターが手前側に引き出されてくるが、そんな気配がない場合は、ローターのハンドルに剛性の高いパイプ(フォークのインナーチューブが最適)を掛けて回すか、鉄ハンマーでブッ叩く。そうすると、ゴキッと音がしてローターが抜ける。
今回はハンマーで叩くことなくローターが抜けた。
クランクシャフトに回り止めのウッドラフキー(半月キー)がはまっているが、なくしやすいのでローターのマグネットにくっつけておく。
お目見えしたステータコイル。
上部にある黒いボックス状の物はパルサーコイルである。
ステータコイルの左斜め下に巻かれている点火用のエキサイタコイルが断線しているようで、丸ごと交換しなくてはならない。4月に壊れたときもココだったが、壊れやすい部分なのかもしれない。コイルは数年前にハーネスを中古で買ったときにおまけで付いていたものを物置で発見したので新品を買うハメにならずにすんだ。
コイルを交換し、ローターをはめ込む。この際、クランクシャフトにウッドラフキーを入れるのを忘れてはいけない。ローターの穴にある切り欠きの部分をウッドラフキーの位置に合わせるようにしてやらないとローターが入っていかない。ローターがはまったら、ボルトをねじ込んでやる。ここの締め付けトルクは7kgf・mもあるのでエンジン単体での整備の場合はエンジンが動かないようにしてやる必要がある。今回はタイダウンで作業机に縛り付けた。シザースホルダでローターの回り止めをしながら、トルクレンチで規定トルクまで締め付けて終わり。
おまけ
水没ゴミエンジンを完全に解体した。
ミッション、クラッチ、オイルポンプなどあらかたのパーツは取ってしまっていたが、ピストンの状態を見たかったのでシリンダも抜いた。ピストンが下がっていた方のシリンダは水が入っていて赤錆だらけでアウトだったが、もう一方のシリンダは生きていた。ピストンは両方ともたいしたキズもなく再使用可能な状態だった。
ついでに、真っ赤なクランクを見たくてケースも割った。見事なくらい赤くなっている。クランクの紅葉だ。
キャブが抜かれて、雨ざらしになっていたので致し方ないところだ。
片側のシリンダとピストンが2個とも生きていたのは奇跡のようなもんだ。
割った上下のケースは盆栽の皿くらいにしかならないであろう。
赤錆クランクと救出されたピストンで記念撮影。
クランクは、作業場のオブジェとして余生を送ることになりそうだ。