2stroke with powerband -It's always smokin' on the road


DT125Rいじり その14
平成22年11月28日 キャブヒーター装着
DT125Rの純正キャブには、シリンダヘッドから温水が回っており、寒冷期のアイシングを防止している。
純正キャブからPWK28に換装している私のDTはそういった装備がない。昨年の冬、氷点下近くまで気温が下がったときに、見事にキャブがアイシングしてしまった。キャブからオイルを混合しているので、4ストのようにスロットルバルブの張り付きは起こらないのだが、スローポートの出口が凍り付いてしまい、低開度域でガソリンが出てこなくなるという現象に見舞われた。結果として、アイドリングはもとより、低速走行がまったく出来なくなり、エンスト。挙句には、ガソリンが出てこないのにキックを連発して、プラグがオイルでカブってご臨終。
寒さプラス雨や雪のように湿度の高いときにこの現象は起こる。
通勤で使用しているので、雨が降ったら乗らないというわけには行かないので対策を考えた。
ネットでいろいろと対策方法を探していたら、スズキ純正のキャブヒーターが存在することを発見。
部品番号は「13650-20E00」。出力25Wのタイプ。
価格は「1800円」。
左の画像がキャブヒーター本体。中心部分が電源配線が付く。メスのギボシが挿せるようになっている。
側方電極のようなものは、アース電極。別途アース線を引く必要がある。平型端子(幅6mm)で接続する。
キャブのどこかにコレを取り付けなくてはいけない。
ジカにつけるわけにも行かないので、ブラケットになるものを探した。
ガラクタ箱にあったのが、右の画像のアルミ部品。ハンドルガード用のインナーブラケットだ。
ネジ穴が8mm×1.25ピッチでちょうどぴったりだった。これをグラインダーで削って形を整えた。
装着場所はフロートチャンバーの側面にした。というかそこしか場所がなかった。
スズキ純正のサーモスイッチ。
おおよそ気温9度以下で導通し、10〜16度で切断するらしい。
部品番号は「13655-16F00」。
価格は「2350円」。
手動スイッチでもいいかと思ったけど、ハザードやらファンやらのスイッチがひしめき、これ以上付ける場所がないので、これで良しとした。
エーモンのコンパクトリレー。10A対応。
キャブヒーターは25Wとけっこう高出力なので、電源はバッテリーから引きたい。となると、リレーを使って、スイッチ電源とヒーター電源を切り分けることにした。
メインハーネスの茶色線から、スイッチの電源を取り、サーモスイッチが導通すると、リレーが働いてバッテリーからヒーターに電気が流れる。
このリレーは出力側が黄色と白の2系統になっているが、ゴムの被覆を剥がして、使わない白の配線は根本から切っておく。そのあと、ビニールテープでグルグル巻きにいて防水処置を施した。
ヒーターの接着に使うのは、構造接着用エポキシのGM-5520。
パテじゃなくて接着剤らしい。
何年か前に買ってあった物を引っ張り出してきた。
こんな程度のものに使うのはもったいないと思わないでもないが、他に適当な接着剤がなかったので使用する。
2液性のGM-5520を混ぜ、ヒーターをフロートチャンバーに接着。
60度以上で1時間加熱するとよろしいとのことなので、おなじみのストーブでかっちり付くまで放置した。ストーブといっても、置く場所は灯油タンクの納まるフタの上なので直接加熱されるわけではない。加熱された熱気がじんわりと伝わってくる場所で、じっくりと接着を待つわけである。その間に、車体側の必要な配線を済ませておく。
約1時間半後、かっちりと接着されたヒーターとフロートチャンバー。
ためしにプラハンでぶん殴っても取れなかった。
強度はバッチリだろう。
冷気を遮断するために、フロートチャンバーの外側にはアルミ・グラス素材のテープを貼り付けた。少しでもヒーターの効率アップを狙いたい。
サーモスイッチの取り付け。
車体左側のチャンバーとエンジンの熱気が伝わりづらい場所にタイラップでくくりつけた。
オフ車は手狭で取り付け場所が少なくて苦労する。
そして、キャブを車体に装着した。
ヒーターにあるアースラインの端子がクランクケースに当たってしまったので、やや強引ではあるが、横方向に曲げて干渉を回避した。
やっぱ、むき出しはちょっと貧相である。
防風板でも付けてやろうかと思わんでもないが、とりあえずはコレでよしとしよう。
とりあえず、キャブヒーターの装着は完了した。
装着時の気温が15度前後でサーモスイッチが入らないので、インプレは後日に回す。
平成22年12月2日追記。
ヒーターが動作しているかさっぱりワカランのでパイロットランプをつけた。メインスイッチを入れたときに、サーモスイッチ周りの雰囲気温度が9度以下だと導通しヒーターが発熱する。同時にパイロットランプが点灯する。ヒーターはものすごい速さで発熱する。かなり熱くなる。
10〜16度でスイッチはOFFになるとのことだが、吸気温度センサーをサーモスイッチにくっつけて測ったところ、20度でOFFになった。現在、サーモスイッチをつけている場所で20度となると、キャブ周りではもっと高温になる。そんなに暖めておく必要はないので、サーモスイッチをキャブの近くに移設する必要がある。
まだ、アイシングが起きるほどの寒さではないが、ヒーターの効果は体感できる。
外気温が10度を切ると、始動後クランクケースが暖まるまでにかなりの時間がかかり、ガソリンの気化が悪い感じで、しばらくトルクのなさが見られたのが、ヒーターを動作させ、充分キャブが暖まってから、エンジンを始動すると、水温の上昇が明らかに速い。アイシングの防止はもちろんであるが、毎冬、暖気に時間がかかり、その間のトルク低下と燃費が悪化していたものが、ヒーターの装着によって改善されることを期待したい。
平成22年12月18日追記
キャブヒーターの設置場所を、フロートチャンバー側面からベンチュリ部に移動した。前の場所では、キャブの脱着にいささか不便だった。また、アイシングが発生するベンチュリ部に近いほうが効果も高かろうという目算もある。
ブラケットの側面をR状に削ってベンチュリ部に接着した。サーモスイッチもキャブ本体に装着。温度計のセンサーも一緒にしてあるので、リアルタイムでキャブの温度が見えるようになった。
エンジンを掛けると、キャブが冷えていくのがわかる。
平成24年12月26日追記

2年余り運用した結果、サーモスイッチは取り外して、通常のスイッチをメーターパネル横に設置した。
吹きっさらしの2st単気筒では、エンジンが暖まっても、キャブの周辺温度が上がらずにスイッチが切れないことが多かったからである。グリップヒーターを付けて、電力消費が大きくなったことも理由のひとつだ。

ハンドスイッチにしたことで、アイシングを再現してみることもできた。
アイシングは、湿度が高く気温が低い時の始動直後、そして信号待ちなどの停止時に起きやすいことがわかった。
外気温5℃くらいでも、始動直後にキャブボディは氷点下になってしまう。
これは、ベンチュリ部での気圧低下が周辺の温度を下げてしまうことが大きいものと考えられる。
このときに湿度が高いとスローポートが凍ってしまうようだ。

信号待ちなどの停止時でのアイシングは、走行中にはラジエター、エンジンを通過して暖まった空気がキャブに当たるのに対して、そういった要素がなくなることで、キャブが冷えてしまうことで起きるようだ。
しっかりとエンジンが暖まっていても、停止時間が長いとアイシングしてしまうことも観測された。